戦争と短歌(近藤芳美・著)
『戦争と短歌 (岩波ブックレット)
戦争にまつわる短歌と、その短歌の情景や背景を静かに解説する一冊です。著者自らの戦争体験の中で、遺書を書かされる場面が登場します。昨日まで漁師をしていた兵士が、ゆびおり数えて、短歌を作り、家族になんとか気持ちを伝えようとしたのだそうです。著者の静かな語り方が、かえって強く心に残りました。
以下、印象に残った短歌を引用します。「P」はページ数を示します。
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○P10
のぞみなき事といひつつ顔を剃り突撃隊を率ゐ行かしし
○P15
寄り来りあかつき谷に友を焼き火の燃えたつを見つつ別るる
○P21
うら若き敵の屍よ細き指あはれ美しく爪を切りたり
○P25
担架にて壕ゆく屍を送り立つ曇り夜の星見えて光なし
○P46
硫黄島落ちて十年子を連れてきみ新しき妻となりゆく
○P57
転びしことが弾みとなりて泣くわれに背のおさなごが立てよと励ます
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解説とあわせて読んだこれらの短歌、大事に覚えておこうと思います。本書を手にすることができた幸運に感謝します。
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