「うれし涙を流しつつ」という言葉。(『いしぶみ―広島二中一年生全滅の記録』 感想)

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齋藤孝 梅田望夫

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恥ずかしながら、上記書籍で紹介されているのを読むまで、下記書籍の存在を知りませんでした。

いしぶみ―広島二中一年生全滅の記録
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広島テレビ放送

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亡くなられた方々の名簿が巻末にあるのですが、1970年頃に、まだご存命だったご遺族の声を集めたのが本書です。P55にこんな一節があります。

「黒こげになった中学生たちの中に、お父さんと呼ぶ子がいました。見おぼえのある編上靴で、やっとわが子とわかるひどいやられようでした。
うれし涙を流しつつ、子どもを背おって、灼熱の日中を西地方町から電車道にそって南にくだり、二キロ半の道を一時間半かかって江波本町の自宅につれて帰りました。


広島の原爆の直撃を受けているので、どこで亡くなられたのかも分からない方達も多いようです。とはいえ、ある方は安全な疎開先として広島を選び、ある方はその日の作業に行くのをためらった子の背中を押し、被害に遭われました。日常と非日常の落差が激しすぎて言葉もありません。
私は親になったことがないから分からないのかもしれないけど、黒こげの被害者の中から、もう人相では自分の子と認識できないほどの傷を負った子と再開して、うれし涙を流せるのが、凄いなと思いました。
看取られて亡くなられた方も、看取られずに亡くなられた方もいるけれど、名簿と石碑だけでは分からないことが、一冊にまとめられた本でした。

初出: http://d.hatena.ne.jp/hrkt0115311/20080617/1213680782


テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌